色んなものが好き
好きなものは沢山ある。
嬉しくて悲しいことに。
漫画、ゲーム、アニメ、小説、そういった媒体で、ここではないどこかの異世界に触れることで私の世界も増える気がしていた。実際確かに膨大な作品に触れてきて、脳内の世界面積は広がったと思う。
割と早い段階から、増殖した私の世界から生み出された妄想を表現したいと思ってきた。表現して誰かに伝えてその誰かの世界が広がることを夢見ていた。描きたいものが溢れていた。いつか描けると漠然と思っていた。
何かの絵やゲームや写真や、参考になると思うたびに保存して、それで終わった。いつか描くときに、いつか描けるようになったときに、そればかりだった。
積もり積もったアイデアは、未来への根拠のない期待感を内包しつつ、できない自分を嫌悪する材料になった。保存するたびにも肩の荷というか脳の引き出しが重くなった気がして憂鬱だった。夏休みの宿題をいつかやろうと思う小学生だった。
自分を幸せにする自分の妄想。形として表したいし知って欲しい。
大した努力もせずそんな欲求だけが肥大し燻って悶々としていた。表現するには並々ならぬ努力をしなければ形にはならないのにその考えがすっぽりと抜けたまま妄想とストックだけが膨らんだ。
色んなものが好きだ。
可愛い女の子、格好いい男、花、民族衣装、遺跡、廃墟、SF、夜景、オリエンタル、空、ファンタジックな衣装、自然に埋もれる建物、水族館、海、ファンタジーな世界、RPGで見た異国の街並み、退廃した世界、宇宙、羽、鳥、飛行船、教会、ごちゃごちゃしたお店、市場、団地、海辺の街、透き通った水に浸かった街、ゆらめく魚、砂漠、人造人間、アンドロイド、人型兵器、銃、傭兵、踊り子、盗賊、姫、魔法使い、主従、龍、
あげればきりがない。色んなきりがないものを表現したかった。
世の中にはあまりにも素敵なクリエイターの方が溢れている。私が描きたいと思った世界を理想的に描かれている方が溢れている。手を伸ばせばすぐにその世界に触れることができる。
そんな恵まれた環境だから、私が描く意味はあまりないのだ。いい意味で。
Twitterで、素敵な絵沢山見れるから描く意味ないんじゃない?みたいな投稿があったけどめちゃくちゃわかる。
公開されている物凄く素敵な世界、私という入れ物に吸収されていつ排出されるか分からずに腐っているよりはそのまま楽しんだほうがいいことに今更気づいた。
この世界めちゃくちゃ素敵やん!よしブログに記録しとこ!って方がめちゃくちゃ健全じゃないか。
そんなことが分かるのに時間がかかってしまった。
自分の方向性とか描きたいものが定まらず、まあ色々沢山練習すれば見えてくるのだろうけど、その沢山を享受する時期は少し過ぎてしまった。取捨選択(この世界はあの人が物凄く素敵に表現してるからそれを楽しませていただこう、あの世界はどうしても自分なりに描きたいからなんとかしよう)が必要ではないか、と思うのだ。
なお創作活動以外にささやかに青春したり友情形成したりいろんなとこ行ったり知ったりゲームも漫画も沢山経験した結果今の自分があるので後悔も否定もしていないことは付記しておく。
というわけで描くことをやめるつもりはないけどなんとなく吹っ切れて色々純粋に楽しみたいなと思いました、というお話でした。
私にしか描けない何かを描きたい。
といいつつ描きたいものがなかなか定まらないので試行錯誤と取捨選択していきたいです。画力上げるのがんばります。